今右衛門について

今右衛門ってどんな窯元？特徴は？
知って得する豆知識をご紹介します。

今右衛門（今泉今右衛門）とは

今右衛門は柿右衛門と双璧をなす有田焼を代表する陶芸一族で、当代は十四代目です。⾚絵付の家系として、江戸時代から300年以上の長きに渡り腕を振るい、彼らが絵付けを施した⾊鍋島は、将軍家への献上品、幕閣・公家・諸⼤名らへの贈答品として⽤いられるなど⾼い品格を誇ります。

⾊鍋島の特徴は、⽬⽴たないふち周りの部分や⾼台にまで細かな意匠が施された、繊細且つ気品あふれる作⾵にあります。その繊細な絵付けや赤絵の技術は長きにわたり人々を魅了しています。

今右衛門が手掛ける色鍋島は、1971年に国の重要無形文化財総合指定に指定されました。13代目および14代目今右衛門は、優れた功績を残したことから、重要無形文化財「色絵磁器」の保持者(人間国宝)に認定されています。

伝統を守りつつ、新たな作風を生み出している今泉今右衛門は、今後も色鍋島を代表する窯元として、活躍が期待されます。

特徴的な技法

十三代・今右衛門（1926～2001）

十三代目は今までの今右衛門様式とは一線を画す表現方法を確立しました。コバルトの染付の絵具を吹きつける「染付吹墨」の技法を用いて濃淡に富む表現を実現し、さらに1978年には貴金属を含んだ黒色の顔料を吹墨と同様の技法で水墨画の様な濃淡を表現した「薄墨吹墨」を創案。この技法を用いた作品はいずれも高い評価を受け、伝統工芸展をはじめ、数多の展示会・展覧会で輝かしい賞を受賞しました。

十四代・今右衛門（1962～）

十四代目の特徴は「墨はじき」です。江戸時代から用いられている技法「墨はじき」をベースに、「藍色墨はじき」「墨色墨はじき」「層々墨はじき」「雪花墨はじき」など、新たな技法を生み出します。「墨はじき」とは染付磁器で白抜きの文様をつくるための技法で、墨で文様を描いた上に染付で塗り、素焼の窯で焼くと墨が飛んで白抜きの文様が現われるというものです。この技法は鍋島焼の青海波や伊万里焼の種々の地文に多く使われていますが、釉薬前に一度空焼をする工程があるため手間のかかる手法といえます。
十四代目は日本画のように余白を残した絵付けが多いです。